かねてからの夢は、ぶらりとスタジアムを訪れ、サッカーを見ることだった。それもドイツやイタリアなら文句なし。昨日、その夢がかなった。場所はイタリア南端のレッチェ。
レッチェは人口9万。オトラントの18倍の人が住んでいて久々に見る都会だった。歴史は軽く2000年を越えていて、奈良県明日香村なんて足元にも及ばない。この街のサッカーチームがUSレッチェで、赤と黄色のユニホームが特徴だ。
ま、それはともかくレッチェは今、イタリアのプロサッカー2部リーグのセリエBに所属する。試合開始の40分ほど前に本拠地「ビア・デル・マーレ」のスタジアムに着くと、黒シャツや、黄色と赤の縞々のシャツを着たファンで混雑していた。
試合開始は午後3時。同じプーリア州のフォッジアとの対戦だが、フォッジア側のゴール裏に陣取ったところ、ここも黄色と赤で埋まっていた。本当のフォッジアファンの応援席は金網に囲まれ、監獄さながら。甲子園のヤクルト応援席よりも悲惨だ。
チャンスになると後ろのおじさんが「バイバイバイ」と叫ぶ。となりの兄さんも「バイバイ」と言う。イタリア語で、君は「行け行け」という意味だ。
試合は後半14分にフォワードのマンティがヘッドで先制。その1点を守りきったレッチェがフォッジアを下した。4位に浮上。
スタジアムの観客は少年少女からおじいさん、おばあさんまで幅広い年齢層で埋まっていた。入場口に並ばなかったり、椅子が汚れていたり、煙草吸い放題だったりと、突っ込みどころは色々あったが、青い空に赤黄色の服が映え、プレーに一喜一憂するスタンドの一体感にこちらも熱くなってしまった。
●フォッジアファンの応援席は金網に囲まれ、孤立していた
定年後、荒野をめざす
五木寛之の「青年は荒野をめざす」に感化され、22歳の春、旅に出た。パキスタン航空の格安チケットを手に入れ、カリマーのアタックザックひとつでアジア、ヨーロッパをさすらった。そして再び、旅心に囚われ、36年間勤めた新聞社を辞め、旅に出る。(中村 正憲)
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