街で出合ったイタリア語

 Incredible 

  タオルミーナの海岸から、ロープウェイで中心街に戻ろうとした。乗り場近くにアイスクリーム屋があったので、シチリア名物のグラニータを頼んだ。

 2•5ユーロ。細かいコインで支払おうとすると、アニメ「千と千尋」に出てくる湯婆婆のような女主人に、投げられた言葉。
 インクレディービレ!
 (信じられない!)
 すごい大声だった。食い逃げでもしたかのように。

 こっちも同じ言葉を返したかったが、ペルケペルケ(なぜ?)と聞くばかり。細かいコインでの支払いは敬遠されるのだ。perché ?

 Dove il pa•••••.

  なんと、メッシーナの港でフェリーから降りて来た車の運転手に道を聞かれた。まさか、イタリア人に見えた訳じゃなかろうに。残念ながら、paに続く言葉が聞き取れなかった。
Non lo soととっさに答えた。なんか、うれしかった。「知らない」と答えただけなのに。

イタリア語教室の白板

  Numero Verde 

 カターニアの駅の自動販売機で、水を買おうとした。1ユーロが返ってこなかったとき、表示された単語がこれ。緑の番号ってなんだ?
 イタリアのお客様コールセンターの代名詞なのだそうだ。cerca il numero verde.と書いてあった。「コールセンターを探せ」。機械の不具合なのに、ずいぶんマウントを取った表現だよなあ。

 Io ho alcuni problemi con la mia camera.


 何度、滞在先の宿でこれを使っただろう。
カーテンが外れて落ちた。
コップがない。
朝ごはんが出てこない。
部屋の掃除はまだ。
一人で抱え込んだ悩みもあった。12時過ぎても、毎夜、歌声が聴こえてくる。

「私の部屋、いくつか問題があるんです」という言葉に、フロント係は「Mi dica」、私が聞いてあげる、と答えた。解決にはかなりの時間を要した。

 

Buon viaggio

 だけど、ホテルを去る時は、底抜けの明るい顔でこう言った。ボンビアッジヨ! いい旅を。

 

定年後、荒野をめざす

五木寛之の「青年は荒野をめざす」に感化され、22歳の春、旅に出た。パキスタン航空の格安チケットを手に入れ、カリマーのアタックザックひとつでアジア、ヨーロッパをさすらった。そして再び、旅心に囚われ、36年間勤めた新聞社を辞め、旅に出る。(中村 正憲)

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