マフィアじゃなかった

 シチリア島の東に位置するタオルミーナの街は、活火山のエトナ山の北東の麓にある。立体地図を見ると、3000メートルを超えるこの山は、地中海にギリギリ迫っていることがわかる。ちょうど鹿児島市内から桜島を見る感じだろうか、噴煙をあげる姿を、街から眺めることができる。

 前回、南東端のカターニアからバスでタオルミーナへ来た際、規定マスクがなくて乗車拒否された話を書いた。マスク業界と運行業界の背景にマフィアがいるのか、なんてシチリア的思考を巡らせていたら、大阪のイタリア政府機関に勤める友人からメッセージが届いた。

 なんだ、そんなことだったのか‼︎ 彼女からのメッセージは、こうだった。

        ◆◆◆
 シチリア上陸おめでとうございます🇮🇹🥂
バス大変でしたねー。イタリア政府の法令で、「公共交通機関を使用する際にはマスクを着用する」ことが定められてるんです。他は確か病院とかが着用対象だったと思います。ただ、最新の変更で「FFP2レベルの」マスク、という規定が外されたらしいのですが、今も公共交通機関内では以前のままの「FFP2レベルのマスクの着用義務があります。着用していない場合は最寄り駅で下車してもらいます」みたいな放送が流れてるので、世の中の人たちみんなFFP2 つけてる感じですね。
 そんなこと、外国から来た人は知らないよねぇー。お疲れ様でした。みんなFFP2をひとつ常に携帯していていざと言う時にはサッと取り出してる感じ。
どうかシチリアを満喫してください。
        ◆◆◆

 僕の無知をカバーしてくれる温かいご指摘、ありがとうございました。ちなみにドイツ政府機関の友達からも、「ドイツでも必須ですよ。買っておくと便利です」と優しい言葉をいただきました。
 Grazie mille.
  確かに。タオルミーナ市街と海岸の島を結ぶロープウェイの切符売り場にも、FFP2マスクの自動販売機があった。コロナ禍は日本だけでなく、世界の習慣を変えてしまったのだと実感した。

 さて、FFP2マスクって何?
 ネットで調べると、4層構造で、飛沫、花粉、黄砂、PM2・5などの微小粒子状物質を効果的に遮断するのだそうだ。
「フィルターフェイスピース」

 シチリア5日目。毎日が祭りのようなタオルミーナの目抜き通りで、まだマスクをした人を見ていない。飛沫だらけだと思うけれど、人々の幸せそうな表情が見られて、こちらとしてはピースな気分になるのである。
            (2022/8/26)


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五木寛之の「青年は荒野をめざす」に感化され、22歳の春、旅に出た。パキスタン航空の格安チケットを手に入れ、カリマーのアタックザックひとつでアジア、ヨーロッパをさすらった。そして再び、旅心に囚われ、36年間勤めた新聞社を辞め、旅に出る。(中村 正憲)