イタリア 旅の余話2019.03.29 20:52 17世紀の修道院を改装したホテルで最後の夜を明かした。午前6時、窓を開けると、車のエンジン音やガラス瓶をかき集める音や、誰かの口笛やらで騒々しい。ポポロ門へ続く通りにやっと朝日が当たり始めた。静かな夜明けだったプーリア州オートラントに比べると、ローマは朝...
悲しみのマリアのルーツを探して2019.03.28 06:12 この絵が「悲しみのマリア」。16世紀にローマかどこかで、プルツォーネ (本名シピオーネ)が描いたんじゃないかといわれている。今は大阪の中津の南蛮文化館に飾ってある。絵の前に立つと息を飲むほどの美しさだ。 だが、キャン...
ジェズ教会の裏部屋2019.03.26 02:46 光が降ってくる。ローマにあるイエズス会の総本山「ジェズ教会」の天井に近い窓から、床と礼拝用の椅子に太陽の光が降り注いでいた。 3月25日正午、ローマ駅近くのホテルから歩いてこの教会に来た。イタリア語でgesuと書いて、ジェズウと発音する。文字...
オートラントを去る日2019.03.23 05:05 2月23日、氷雨と強風の中、たどり着いたイタリアの最南東端の町オートラントは気温4度だった。7時を過ぎても日が昇らない。 あれから、1カ月がたち、6時過ぎには太陽が昇るようになった。イタリアで最も早く日の出を眺めた1人が僕だったかもしれない。太陽の周回が...
「銀河鉄道の夜」を見つけた2019.03.19 05:55 この汽車なら、東京-大阪間は14時間30分かかる。窓は汚れて開かない。そのせいで車窓の一面のオリーブ畑も、白内障の目で眺めるとこうなるんだというぐらい、くすんでいる。 イタリア半島のかかとにあるオートラントとマッリェ間19キロを結ぶスドエス...
廃墟に残る一幅の絵2019.03.16 12:13 石段を上った2階の入口の先に長方形の窓がある。息をのんだ。窓の向こうにアドリア海へつながる草原が続いていた。遠くに雲がわいている。それは一幅の風景画としか思えない。
黄色と赤に染まる街、レッチェ2019.03.13 16:58 かねてからの夢は、ぶらりとスタジアムを訪れ、サッカーを見ることだった。それもドイツやイタリアなら文句なし。昨日、その夢がかなった。場所はイタリア南端のレッチェ。 留学先のオトラントからレッチェまで、車で40分。大阪府警の門真試験場で国際免許は取っていたので、レンタカ...
殉教者の骸骨に長崎を偲ぶ2019.03.12 19:32 南イタリア はオトラントの中心に大きな教会がある。観光ガイドや旅のブログでは「オトラント大聖堂」と紹介されている。だが、地元の人たちは「Cattedrale i martiri」と呼んでいた。 「殉教者の大聖堂」。martiriがキリスト教の殉教者を意味...
イタリアで迎える3・112019.03.10 21:40 いま、イタリアは3月10日午後9時46分。日本との時差が8時間あるから、わが祖国は3月11日の朝を迎えていることだろう。 2011年の東日本大震災から8年になる。去年は原発事故による放射能汚染のために福島から大阪へ子どもを連れて避難した母親を取材し、新聞に掲載した。隠れて暮らす...
南イタリア五景2019.03.07 20:33 イタリア半島の南の辺境オトラントに来て2週間がたった。この2週間、一人の日本人も見かけなければ、一言の日本語もしゃべっていない。オトラントは長く、東ローマ帝国の支配下にあった。ギリシアに攻め込まれたり、ノルマン王朝の支配下にあったり、オスマントルコに占領されたりと、...